こだわるほど質を高める道具の話(その1)

ハルクロスの「はる」です!

今回は職人にとってもっとも身近で大切な存在である腰道具について、私のこだわりをご紹介します。

壁紙を張るために必要な道具というのはある程度決まっていますが、使い方や道具の素材、形状、サイズ、重量、質感などによって壁紙の施工品質に大きく影響を与えます。

例えばカッターひとつでも柄の長さや刃の厚みなどさまざまな種類があって、それぞれに切れ味やコシが違うので、壁紙の素材や下地の状態によって相性が合う合わないということもあります。

それぞれの道具の役割と仕上がりへの影響を交えながらご紹介していきます!

撫でバケ

一番初めにご紹介するのは、壁紙を壁に張り付ける時に一番最初に使う撫でバケです。

大きめのブラシの柄のような形状で、壁紙を壁に撫でつけながら空気を抜いていくための道具です。

ブラシの毛の部分は馬毛や豚毛などいくつか種類があって、毛の長さや量によってコシのある撫でバケ(硬めの撫でバケ)コシのない撫でバケ(柔らかめの撫でバケ)というものが存在しています。

どちらが良いというわけではなく、柔らかい壁紙には硬い撫でバケが、硬い壁紙には柔らかい撫でバケが相性が良いといえます。

柄のサイズもさまざまで20〜30cmが一般的です。小さい方が軽量で細やかにエア抜きでき、大きい方は壁紙にテンションをかけながら一気にエア抜きすることができます。

私が使っているのはどちらかというとコンパクトなタイプのものです。軽量なので使い勝手がよく、特に張り替え現場はエアコンや分電盤など取り外せないタイプのものが壁についていることが多いので小回りが効くコンパクトタイプを選んでいます。

撫でバケの代用品としてスムーサーというものがあります。

プラスチックの板のようなもので撫でバケが入らないような狭いところなどに使います。

スムーサーを大きくしたスムーサーバケというものもありますが、壁紙を張る時はある程度のテンションをかけながら張らないと折りジワが残る恐れがあるためどちらかといえば撫でバケを使う方がよいと考えています。

あえて壁紙にテンションをかけたくない現場もありますので、そういった時に私はスムーサーバケを使うようにしています。

角ベラ

撫でバケで空気を抜いたあとの壁紙に折り目をつけるための道具です。

ペーパーナイフのような形状で、壁紙の四方をカットするために折り目をつけます。

こちらは他の道具ほど種類は多くありませんが、長さや角度が商品によって若干異なってきます。

職人さんによっては角ベラを使わずに地ベラで折り目をつける方もいらっしゃいますが、私は断然角ベラを使った方が良いと考えています。

角ベラを使って壁紙にしっかり折り目をつけることでチリのラインが美しくなり、仕上がりが一段階キレイになります。

「チリ」とは壁紙を切ったラインのことでドアの枠周りや、壁と床の境目にある巾木の上の壁紙のラインのことを指します。

壁紙の表面は凸凹しています。これをそのままカットすると凸凹のラインがそのまま出てしまいますが、角ベラでしっかり折り目をつけておくとカットした時に凹凸が出ずにまっすぐ切ったラインが出るのです。

さらに、角ベラをあてるときの力加減も仕上がりを左右するポイントになっています。

新築住宅のようにまっすぐでキレイなボードに壁紙を張るときは角ベラをしっかりあてますが、たとえばモルタルでできた少しガタつきのある壁にはやさしくあてることで壁紙がガタつきを拾わないようにフワッと張るような施工を心がけています。

地ベラ

DIYで壁紙を張るときにもよく出てくる地ベラは壁紙をまっすぐカットする時に使う定規のような役割の道具です。

角ベラでつけた折り目に沿って地ベラをあてて、地ベラにカッターを沿わせてカットします。

地ベラも奥が深い道具のひとつです。

ブレードのサイズ、厚み、柄の形状などさまざまな商品があります。

撫でバケと同じように20〜30cmが一般的なブレードのサイズで、厚みは0.6mmと1.2mmがもっともよく使われる厚みです。

0.6mm厚の地ベラを「薄ベラ」、1.2mm厚の地ベラを「厚ベラ」と呼びます。

壁紙同士が接する箇所は薄ベラでカットして、壁紙以外と接する箇所を厚ベラでカットするのが定石となっています。

ただ実際はもっとさまざまな施工のやり方があります。

たとえば私たちが住んでいる広島岡山エリアでは厚ベラを使わず、薄ベラ一本で全てカットする文化があります。

広島岡山エリアの賃貸アパートを見ているといずれも1.2mm地ベラを使っている様子はありません。

岡山市の方にいくと厚ベラを使った形跡があります。

関東では厚ベラ薄ベラの使い分けが一般的になっているようです。

刃の厚みも実は2種類だけではありません。

1.0mmや1.5mm、0.8mmなどもあります。これらを使っている人は少数です。

ちなみに私も1.0mm地ベラを使うことがあります。

理由としては、0.6mm地ベラのみだと現場によって壁と壁の間にある隙間や巾木の接着が弱まっている箇所などでは壁紙を覆うようにカットできないためです。

こういった箇所はコーキングで埋める必要があり、どうしても見栄えに限界があります。

1.0mm地ベラでカットすることでコーキングを使わなくても隙間を埋めることができるようになります。

1.2mm地ベラだと0.6mm地ベラで仕上げた部屋との見栄えの差が大きすぎるため1.0mmがちょうど良いとかんじます。

また、1.0mm地ベラはカットする時に地ベラを壁に対して立てるか寝かせるかによってチリの幅を調整することができるため非常に使い勝手が良いです!

語り出すときりがないのでこのあたりでやめておきます^^;

ハルクロスは福山市を拠点に西は尾道市、東は倉敷市まで展開する壁紙クロス施工職人です。

歴30年の親方(義父)と共に大手ハウスメーカーの賃貸物件を貼り替えたり、地域工務店の専属職人として木造住宅の増改築を手がけております。

貼り替えに特化して、施工実績は年間80〜90件。壁紙のお困りごとがあればぜひお気軽にご質問ください。まずはオンラインで無料お見積りからどうぞ!