物理学的道具の使い方のポイント

ハルクロスの「はる」です!

今回は少しマニアックなお話を、、、実は私、こうみえて高校時代は理系で勉強もそれなりに頑張っておりました。

気がつけば当時の面影もなくなってしまいましたが、日々クロスを張るなかでどうやったらキレイに仕上がるのか、力のかけ方や道具の使い方に物理学的思考が隠されているなということに気づきまして、なかなか興味のある方は少ないかと思いますがここで一部ご紹介できればと思います!

撫でバケの使い方

クロスを張る時に一番初めに使う道具が撫でバケです。

壁に当てたクロスのエアを抜くために使いますが、ただ端にハケを押し当てながらエアを抜いてもキレイに仕上がることはありません。

まずは撫でバケがクロスに加える力の伝わり方とクロス自体の特性を理解する必要があります。

撫でバケでエアを抜く際に2通りのやり方があります。1つはハケを立てて、毛の向きに逆らうように引っ掛けながら掃く方法(これが一般的なやり方です)、もう1つはハケを寝かせて毛の向きに添うように、文字通り撫でるような掃き方です。

前者は毛の一本いっぽんがクロス表面の凹凸に引っかかりながら進んでいくため、クロスにかなり伸ばす力が加わっていきます。クロスをピンと張ることができ、糊シワを防ぐことができます。

後者は逆にクロスを伸ばすことなくエアを抜いていくため、ヨレにくいというメリットがあります。

この2種類の使い方を押さえながら、クロス自体の特性を考えます。

クロスの裏面は紙でできています。そこに糊がつくことでふやけて、乾いている時よりもサイズが大きくなります。ノートやプリントが濡れるとシワシワになるのと同じ原理です。

そしてクロスの紙には繊維に一定の方向があります。これにより、クロスは糊をつけた際に縦方向にはそれほど伸びることなく、横方向に伸びるという特性が生まれます。

実際に、縦240cm横90cmのクロスに糊を塗ると、縦方向はほとんどサイズが変わりませんが、横方向は1cmほど伸びて91cmになります。

クロスに撫でバケをあてる時、縦方向に掃いても大きな影響はありませんが、横方向に掃く時は伸びやすいので注意が必要です。そのまま掃いてしまうとクロスが大きく伸びて柄が合わなくなったり、シワが残ったり、乾いた時の収縮幅が大きくなってジョイントが開く原因になります。

それを踏まえて、撫でバケは縦に掃く時は毛を逆立ててしっかり押さえ、横に掃く時は毛を寝かせて優しく押さえるという使い方が良いです。

カッターの使い方

クロスをカットする際に使うカッターもポイントがたくさんあります。

キレイにカットするためにはカッターの切れ味が重要な要素となります。

カッターの切れ味をアップさせるためには、刃の角度、スピード、力加減を考える必要があります。

まず角度について、切断面に対して立てた刃よりも寝かせた刃の方が切れ味が上がります。これはクロスの厚みに対して接する刃の面積が増えることで1点にかかる負荷が分散されて抵抗が少なくなるためです。

刃のスピードに関してはイメージしやすいかと思います。刃を素早く引いた方がゆっくり引くよりも切れ味が上がります。

最後に刃の力加減に関して、ポイントは2つあります。1つめはカッターに沿わせる地ベラの力加減、2つめはカッターの刃先に対しての力加減です。

地ベラとカッターを使ってクロスをカットする際は地ベラを壁にグッと押し当てながらカッターを優しく持ってスッとカットします。地ベラに9割、カッターに1割力を加えるとよく言われています。

これは地ベラでしっかり押さえることでカッターの切る力が他の箇所へ分散しないようにするためです。プリントを定規で押さえて引っ張ると、定規に沿ってまっすぐちぎることができるかと思いますが、定規を押さえる力が弱いと小口が汚くなります。これと同じ状態を地ベラの力加減で作り出しています。

カッターに力を入れないのにはもう一つ理由があります。それはカッターの刃が下地に食い込まないようにするためです。大抵は巾木やボードに向かって刃を入れることになりますが、力を入れすぎるとその巾木などにカッターが食い込みます。すると刃先が木繊維によってガタガタと負荷がかかるためクロスに均一に力が伝わらずキレイにカットできなくなります。

ローラーの使い方

ジョイントカットしたあとにローラーで切り口を押さえます。

ローラーを使う理由は切り口をキレイに合わせることだけではありません。ジョイント周りの糊を均一な厚みに整えるという目的があります。

通常、クロスにつけた糊は表面張力によって小さな山がたくさんできます。このままだと山の低いところはすぐ乾き、山の高いところは乾くまで時間がかかります。クロスは乾く時に収縮するため、そこに時間差が生まれることでジョイントが開いたりくっついたりします。これを防ぐためにローラーでジョイント周りを押さえて糊の厚みを均一にします。加えて、均一になった糊はハケで押さえた箇所よりも糊厚が薄くなるので早く乾きます。ジョイント周りを先に乾かすことでクロスの中央が乾いた時に生じる収縮の力に対抗させるのです。

ハルクロスは福山市を拠点に西は三原市、東は倉敷市まで展開する壁紙クロス施工職人です。

歴30年の親方(義父)とともに、とある工務店の専属職人として戸建住宅の増改築リフォームを手がけたり、皆さまが一度は耳にしたことのあるような大手ハウスメーカーの賃貸アパートを張り替えたりしてきました。

最近ではホームページやSNSを通じてお客さまからお仕事をいただくようになり、壁に空いてしまった穴の補修、使わなくなった子供部屋の張り替え、新築住宅へのアクセントクロス施工、中古住宅の丸ごと張り替えなどを行なっています。

施工実績は年間80〜90件、現地調査・お見積りは無料です。

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